pH9.2の炭酸ナトリウム緩衝液を作るための計算方法

化学

pH9.2の0.1M炭酸ナトリウム緩衝液を作るために、どのように炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムを混合するかを理解することは、高校化学の重要な課題の一つです。この記事では、この問題の解き方を順を追って解説し、具体的な計算方法を紹介します。

緩衝液とは?

緩衝液は、酸と塩基が反応してpHの変化を抑える働きをする溶液です。炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムは典型的な緩衝液を形成する物質であり、特にpH9.2の環境で利用されます。この反応は、酸性または塩基性の物質を追加してもpHが大きく変化しないように調整するために使用されます。

緩衝液を作成する際に重要なポイントは、目的のpH値を維持するために、適切な酸と塩基の比率を調整することです。炭酸水素ナトリウム(NaHCO₃)と炭酸ナトリウム(Na₂CO₃)の混合比率を計算するために、ヘンリーの法則に基づく「緩衝作用」を利用します。

ヘンリーの法則と緩衝液のpH計算

緩衝液のpHは、次の式を使用して計算できます。

pH = pKa + log([塩基]/[酸])

ここで、pKaは炭酸水素ナトリウムの酸解離定数、[塩基]は炭酸ナトリウムのモル濃度、[酸]は炭酸水素ナトリウムのモル濃度です。炭酸水素ナトリウムのpKaは約10.3であるため、この値を式に代入することで、pH9.2の緩衝液を作るために必要な酸と塩基の比率がわかります。

式を整理すると、次のようになります。

9.2 = 10.3 + log([Na₂CO₃]/[NaHCO₃])

この式を解くことで、炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムのモル濃度比が得られます。

炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムの必要な量の計算

上記の式を解くと、炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムのモル比は約0.63:1になります。つまり、炭酸ナトリウムの濃度は炭酸水素ナトリウムよりも約63%少なくなるべきです。

0.1Mの緩衝液を1L作るために必要な量を計算するために、この比率を使います。たとえば、炭酸水素ナトリウムの必要な量がxであれば、炭酸ナトリウムの必要な量は0.63xになります。合わせて1Lになるように調整すると、次のように計算できます。

x + 0.63x = 1L

この式を解くと、x = 0.613Lとなり、炭酸水素ナトリウムが約613mL、炭酸ナトリウムが約387mL必要であることがわかります。

実際の計算と解答

まとめると、pH9.2の0.1M炭酸ナトリウム緩衝液を1L作るためには、炭酸水素ナトリウム0.1Mを約613mL、炭酸ナトリウム0.1Mを約387mL使用することが必要です。このように、酸と塩基の比率を正確に計算することが重要です。

まとめ:緩衝液の調整方法

緩衝液の調整において、目的のpHを正確に設定するためには、酸と塩基の濃度比率を計算することが重要です。炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムを使ってpH9.2の緩衝液を作るには、炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムの適切な比率を守ることで、安定したpH環境を得ることができます。

このような計算方法を理解することで、他の緩衝液を調整する際にも応用できます。

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