エミッタ接地増幅回路は、一般的に高い利得と安定した動作が求められるアナログ回路で、コンデンサや抵抗の値を正確に計算することが非常に重要です。この記事では、エミッタ接地増幅回路の設計において、与えられた条件を基にコンデンサと抵抗の値を求める方法について解説します。
エミッタ接地増幅回路の基本
エミッタ接地増幅回路は、基本的にトランジスタのエミッタ端子が接地され、入力信号がベース端子に供給され、出力信号はコレクタ端子から得られる増幅回路です。この回路は高い電圧利得を持ち、広い帯域幅を実現するために使用されます。
エミッタ接地回路では、主に次のパラメータが重要です:β(トランジスタの電流増幅率)、電圧利得、低域遮断周波数、負荷抵抗、そして最大振幅などです。これらを基にして必要なコンデンサや抵抗の値を求めていきます。
与えられた条件と求めるべき値
質問者が提供した条件を整理すると、次の通りです。
- β(電流増幅率) = 100
- 電圧利得 = 35dB
- 低域遮断周波数 = 100Hz
- 負荷抵抗 RL = 1.5kΩ
- 最大対象振幅(Vceq) = 3V
これらの値を元に、コンデンサと抵抗の値を計算していきます。重要なのは、低域遮断周波数に関連するカットオフ周波数を求め、また、適切な電圧利得を得るために必要な抵抗値を調整することです。
電圧利得から抵抗値を求める方法
電圧利得(Av)は、以下の式で表されます。
Av = -Rc / Re
ここで、Rcは負荷抵抗、Reはエミッタ抵抗です。この式を基に、要求された電圧利得に基づいてエミッタ抵抗の値を求めることができます。具体的には、与えられた電圧利得(35dB)を使用して、利得を線形に換算し、必要な抵抗値を計算します。
また、35dBの利得は次のように線形に換算できます。
Av (linear) = 10^(35/20) ≈ 56.2
これを利用して、エミッタ抵抗Reを求めることができます。
低域遮断周波数に基づいたコンデンサ値の計算
低域遮断周波数fL(100Hz)が指定されている場合、コンデンサの容量Cを計算する必要があります。低域遮断周波数は、次の式を使用して計算されます。
fL = 1 / (2πReC)
ここで、Reはエミッタ抵抗、Cはカップリングコンデンサの容量です。この式をReとfLに基づいて解くことで、必要なコンデンサ値を求めることができます。
例えば、エミッタ抵抗Reが1.5kΩと仮定すると、必要なコンデンサCは以下のように計算できます。
C = 1 / (2πRe * fL)
この計算によって、コンデンサの容量を求めることができます。
まとめ:エミッタ接地回路の設計
エミッタ接地増幅回路の設計では、電圧利得や低域遮断周波数、負荷抵抗などの与えられた条件を基に、コンデンサと抵抗の値を求めることが重要です。電圧利得からエミッタ抵抗を求め、低域遮断周波数に基づいてコンデンサの容量を計算する方法を理解することが、回路設計の基本です。
このような設計方法を学び、実際の回路設計に活かすことができれば、効率的で安定した増幅回路を作ることができます。今回の例を参考に、さまざまな条件に対応した回路設計を行っていきましょう。
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