ランキンサイクルの熱効率の計算方法:TS線図とエンタルピーを使った解説

工学

ランキンサイクルは熱機関において非常に重要なサイクルであり、その効率を計算することは、エネルギー利用の最適化に繋がります。特に、TS線図を使用して各過程のエンタルピーを理解し、熱効率を求める方法を学ぶことは、エンジニアにとって欠かせないスキルです。この記事では、ランキンサイクルにおける熱効率の計算方法について、実際の数値を使って解説します。

ランキンサイクルの基本的な過程

ランキンサイクルは、蒸気機関などで使われる熱サイクルで、4つの主要な過程を経てエネルギーを変換します。これらの過程は、圧縮、加熱、膨張、冷却の順に進みます。TS線図では、これらの過程を視覚的に示し、エンタルピーと温度を基に効率を求めることができます。

過程1から4におけるエンタルピー(h1, h2, h3, h4)は、それぞれ異なる状態を示し、この値をもとに熱効率を計算することが可能です。

TS線図とエンタルピーの関係

TS線図(温度-エンタルピー線図)は、ランキンサイクルの各過程を視覚的に理解するために使用されます。この図では、横軸にエンタルピー、縦軸に温度が取られ、サイクル内での各状態の変化を示します。エンタルピーの値は、システムのエネルギー状態を表し、サイクルの効率を計算する際に重要な役割を果たします。

具体的には、過程1(h1)、過程2(h2)、過程3(h3)、過程4(h4)のエンタルピー値を使用して、サイクル全体のエネルギーの流れを計算します。これにより、熱効率を求めるための基礎データが得られます。

熱効率の計算方法

ランキンサイクルの熱効率(ηth)は、サイクルの仕事出力と熱入力の比として定義されます。熱効率は以下の式で計算できます。

ηth = (W_out / Q_in) × 100

ここで、W_outはサイクルから取り出される仕事、Q_inはサイクルに投入される熱エネルギーです。エンタルピーの値を使用して、これらのエネルギーの変化を計算することができます。

具体的には、過程1から過程3までの間で投入される熱(Q_in)はh1からh3までのエンタルピー差であり、過程3から過程4までの間で取り出される仕事(W_out)はh3からh4までのエンタルピー差となります。

具体的な例を使った計算

質問にあるように、過程1から過程4までのエンタルピーが以下のように与えられています。

  • h1 = 135 [kJ/kg]
  • h3 = 3750 [kJ/kg]
  • h4 = 2123 [kJ/kg]

これらの値をもとに、熱効率を計算するためには、まずQ_in(熱入力)とW_out(仕事出力)を求めます。

Q_in = h3 – h1 = 3750 – 135 = 3615 [kJ/kg]

W_out = h3 – h4 = 3750 – 2123 = 1627 [kJ/kg]

次に、熱効率ηthを求めます。

ηth = (W_out / Q_in) × 100 = (1627 / 3615) × 100 ≈ 45.0%

したがって、このランキンサイクルの熱効率は約45.0%となります。

まとめ

ランキンサイクルにおける熱効率の計算は、エンタルピー値を使用することで簡単に求めることができます。TS線図を使ってサイクルの過程を視覚的に理解し、各過程でのエンタルピーをもとに熱入力と仕事出力を計算することで、効率を算出できます。今回の例では、与えられたエンタルピー値を使って熱効率を計算した結果、約45.0%となりました。熱効率を最大化するためには、サイクル設計や運転条件の最適化が重要です。

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