全単射(ぜんたんしゃ)という言葉を聞いたことがある方もいれば、初めて聞く方もいるかもしれません。数学、特に集合論や関数の分野で非常に重要な概念です。この記事では、全単射とは何か、その意味や特性についてわかりやすく解説します。
全単射の定義
全単射とは、集合Aから集合Bへの関数fが「単射」であり、かつ「全射」である場合の関数を指します。それぞれの概念について詳しく見ていきましょう。
単射と全射の意味
単射(Injective Function)は、異なる入力が異なる出力に対応する関数です。すなわち、集合Aの異なる要素が集合Bの異なる要素に対応することを意味します。式で言うと、もしf(a1) = f(a2)ならば、a1 = a2が成り立ちます。
全射(Surjective Function)は、集合Bのすべての要素が集合Aの少なくとも1つの要素に対応する関数です。すなわち、集合Bの任意の要素が集合Aの少なくとも1つの要素から写像されることを意味します。
全単射の意味と例
全単射は、単射であり、かつ全射である関数です。つまり、集合Aのすべての要素は集合Bの異なる要素に対応し、集合Bのすべての要素は集合Aの要素に対応します。
例えば、集合A = {1, 2, 3}、集合B = {a, b, c}の場合、関数fが次のように定義されているとします。
- f(1) = a
- f(2) = b
- f(3) = c
この場合、fは単射であり、かつ全射です。なぜなら、Aの各要素がBの異なる要素に対応しており、Bのすべての要素がAの要素から対応されているからです。
全単射の重要性と応用
全単射は、数学だけでなく他の分野にも応用されています。特に、集合間の対応を理解する際や、逆関数を求めるときに非常に有用です。全単射である関数は、逆関数を持つことが保証されています。逆関数とは、関数fの出力を入力として戻す関数です。
例えば、上記の例では、逆関数f^{-1}は次のように定義されます。
- f^{-1}(a) = 1
- f^{-1}(b) = 2
- f^{-1}(c) = 3
全単射であるため、逆関数も明確に定義できるのです。
まとめ
全単射は、単射と全射の両方の特性を持つ関数であり、非常に重要な数学的概念です。全単射である関数は逆関数を持つため、関数の逆を求める問題において非常に有用です。このような関数の特性を理解することで、集合論や関数の理解が深まります。
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