化学反応における気体の分圧計算は、理想気体の法則を使用して計算されますが、実際の問題では飽和蒸気圧や水蒸気の影響も考慮する必要があります。特に、プロパンの完全燃焼後に生じる水蒸気の影響がどのように計算に関わるのかについて、理解することが重要です。この記事では、この問題における分圧計算の方法と、水蒸気圧がなぜ反応後の分圧計算に影響しないのかを解説します。
完全燃焼の化学反応式とモル比の計算
プロパン(C₃H₈)の完全燃焼反応は以下のように示されます。
C₃H₈ + 5O₂ → 3CO₂ + 4H₂O
この反応では、プロパン1モルに対して酸素5モル、二酸化炭素3モル、そして水4モルが生成されます。質問では、プロパン0.880gと酸素6.40gを反応させた後の気体の分圧を求める問題です。
最初に各物質のモル数を計算し、次に反応後の生成物のモル数を求めることが必要です。これにより、反応後の気体の量と分圧を計算することができます。
水蒸気圧の影響と計算方法
完全燃焼によって生成される水は、水蒸気として気体中に存在します。質問者が述べた通り、計算時に水蒸気の分圧が重要な要素となります。水蒸気圧は、27°Cにおいて3.60×10³Paです。この水蒸気圧は、飽和蒸気圧としても知られ、実際には水蒸気が気体として存在するため、気体の総分圧に影響を与えます。
反応後に生成された水蒸気の分圧がこの値を超えることはありません。そのため、実際の分圧を計算する際には、飽和蒸気圧を基に計算することが適切です。
分圧比と酸素、二酸化炭素の分圧の計算
反応後の酸素、二酸化炭素、水蒸気の分圧は、生成物のモル比に基づいて計算されます。反応式から、酸素と二酸化炭素、水蒸気のモル比は5:3:4であることが分かります。したがって、酸素と二酸化炭素の分圧の和を求めるためには、次のように計算します。
反応後の水蒸気分圧が飽和蒸気圧を超えることはないため、分圧比は水蒸気分圧を3.60×10³Paに設定して計算します。
P’ = 3.60×10³ × (5 + 3) / 4 = 1.8×10⁴Pa
なぜ水蒸気圧を基に計算しないのか?
質問者が疑問に思っているポイントは、なぜ実際の分圧を使わずに飽和蒸気圧を使うのかという点です。実際の分圧を使うと、反応後に生成される水蒸気がそのまま気体中で計算されることになりますが、実際の問題では水蒸気の分圧が飽和蒸気圧に近づくことで、他の気体の分圧が減少し、全体の分圧が変化するためです。
したがって、理論的な計算で使用するのは、水蒸気の飽和蒸気圧に基づいた値であり、これを基に残りの気体(酸素、二酸化炭素)の分圧を計算することで、全圧を求めることができます。
まとめ
プロパンの完全燃焼後の気体の分圧計算において、重要なのは水蒸気の飽和蒸気圧を使用することです。水蒸気が飽和蒸気圧に達すると、それ以上の分圧は上昇しません。この点を理解することで、酸素と二酸化炭素の分圧を計算する際に、正確な値を得ることができます。
反応式に基づき、生成物のモル比を活用して、最終的な気体の分圧を計算する方法を理解することが、問題を解決するための鍵となります。
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