バー材付NC旋盤での内径加工における安定性の問題は、特に精度が要求される作業において重要な課題です。シチズンのBNAを使用したS20Cの加工で発生している内径のボーリング加工のテーパや寸法の不安定さについては、多くの要因が影響している可能性があります。この記事では、内径加工の安定性を向上させるためのアプローチを紹介します。
内径ボーリング加工の課題とその原因
内径のボーリング加工で発生している問題として、奥面のテーパや寸法の不安定さ（±0.05の振れ）が挙げられます。まず、このような問題が発生する原因には、以下の要素が考えられます。
- 工具の摩耗や破損：ボーリング工具の先端が摩耗すると、切削状態が不安定となり、テーパや寸法の変動が生じやすくなります。
- 切削条件の最適化不足：回転数や送り速度が最適でない場合、加工中の熱膨張や切削抵抗が影響し、寸法安定性が低下します。
- クランプや工具の位置精度：加工中の振動や工具の取り付け位置がずれていると、加工精度に影響を及ぼすことがあります。
これらの要因を改善するためには、細かな調整と試行錯誤が求められます。
改善策と試すべき方法
内径のボーリング加工を安定させるためには、以下のアプローチを試みると効果的です。
- 工具の交換や再研磨：工具が摩耗している場合は、新しいものに交換するか、再研磨して切削性能を回復させましょう。
- 回転数と送りの最適化：回転数1500〜2500rpmを試しているとのことですが、さらに細かい回転数の調整や送り速度を実験して、最適な切削条件を見つけることが重要です。
- 逆転回転の試行：逆転回転を試してみることで、切削面に対する影響が異なる場合があります。特にボーリング加工では逆転が有効なことがあります。
- 突き出し長さの短縮：突き出し長さが50mmと長めですが、これを短縮することで工具の振れを減らし、加工精度を向上させることができます。
これらの改善策を試すことで、安定した加工が可能になるでしょう。
チップ選定と加工の精度向上
使用しているサンドビックの菱形80°チップや住友の小径用三角チップは、内径加工において高い精度を求める際に重要な役割を果たします。しかし、チップの選定も加工安定性に大きく影響するため、切削条件や素材に合ったものを選ぶことが重要です。
また、工具とチップの組み合わせが最適でない場合、異なるメーカーのものを試してみることも有効です。精度を確保するためには、工具の種類や材質、形状を変更して適切な組み合わせを見つけることが必要です。
まとめ
バー材付NC旋盤での内径加工の安定性を向上させるためには、工具や回転数、送り速度、さらには突き出し長さやチップの選定など、複数の要因を調整する必要があります。加工精度を向上させるために必要なアプローチは一つではなく、最適な設定を見つけるための試行錯誤が求められます。上記の方法を試し、改善策を適用することで、安定した内径加工を実現できるでしょう。
コメント