本記事では、ニクロム線を使って水を加熱する際の電力供給量や加熱時間を計算する方法について解説します。問題では、500gの水を25°Cから40°Cまで加熱するために使用されたニクロム線のジュール熱を基に計算しています。
問題の概要と必要な計算
まず、与えられた条件を整理します。水の質量は500g、比熱容量は4.2J/(g·K)、初期温度は25°Cで、最終温度は40°Cです。ニクロム線の抵抗値は20Ω、電圧は100Vであり、ジュール熱がすべて水の温度上昇に使われると仮定されています。
この問題では、3つの問いに答える必要があります。まずは、ニクロム線に供給される電力を求め、その後電気を流した時間を計算し、最後に断面積を2倍にした新しいニクロム線での水温上昇を求めます。
ニクロム線に供給される電力の計算
まずは、ニクロム線に供給される電力を求めます。電力は次の式で求めることができます。
電力 (P) = 電圧 (V) × 電流 (I)
電流はオームの法則に従って、次のように求められます。
電流 (I) = 電圧 (V) ÷ 抵抗 (R)
ここで、V = 100V、R = 20Ωなので、電流は5Aとなります。したがって、供給される電力Pは。
P = 100V × 5A = 500W
電気を流した時間の計算
次に、電気を流した時間を求めます。水が25°Cから40°Cに上昇するために必要な熱量Qは、次の式で求めます。
Q = 質量 (m) × 比熱 (c) × 温度変化 (ΔT)
ここで、m = 500g、c = 4.2J/(g·K)、ΔT = 40°C – 25°C = 15Kです。したがって、必要な熱量Qは。
Q = 500g × 4.2J/(g·K) × 15K = 31,500J
次に、供給されるエネルギーと時間を関連づけます。電力Pが500Wであるため、1秒間に500Jのエネルギーが供給されます。したがって、時間tは次の式で求められます。
t = Q ÷ P
t = 31,500J ÷ 500W = 63秒
水温上昇に与える影響(断面積2倍のニクロム線)
次に、断面積が2倍のニクロム線を使用した場合の水温の変化を求めます。ニクロム線の抵抗は、断面積が2倍になると抵抗が半分になります(オームの法則)。したがって、新しいニクロム線の抵抗は10Ωになります。
電流は次のように求められます。
I = V ÷ R = 100V ÷ 10Ω = 10A
したがって、新しい電力Pは。
P = V × I = 100V × 10A = 1,000W
そのため、同じ時間(63秒)で供給されるエネルギーは。
エネルギー = P × t = 1,000W × 63秒 = 63,000J
このエネルギーを使って水温を上昇させるための温度変化ΔTは次のように求められます。
ΔT = エネルギー ÷ (質量 × 比熱) = 63,000J ÷ (500g × 4.2J/(g·K)) = 30K
したがって、新しいニクロム線を使用した場合、水温は25°Cから55°Cに上昇することがわかります。
まとめ
この問題を通じて、ニクロム線による加熱のプロセス、エネルギーの計算方法、そして抵抗の変化が加熱効率に与える影響について学びました。断面積を2倍にした場合、より多くの電力が供給され、水温がより高く上昇することが確認できました。
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