今回は、高校2年生の物理の問題を解説します。テニスボールのラケットでの打ち返しに関する力学の問題です。具体的には、力積、接触時間中の平均の力、そしてラケットとボール間の相互作用を求めます。
1. 力積の求め方
力積(インパルス)とは、力が作用する時間の積分によって求められる物理量です。公式は次の通りです。
J = F × Δt ここで、Jは力積、Fは力、Δtは力が作用する時間です。
力積はまた、運動量の変化に等しいことが知られています。すなわち、
J = Δp ここで、Δpは運動量の変化で、Δp = m × (v_f – v_i)です。
2. (1) ボールが受けた力積と平均の力
最初に、ボールの初速度と打ち返し後の速度が与えられています。初速度は東向きに20 m/s、打ち返し後の速度は西向きに15 m/sです。このとき、力積を求めるためにまず運動量の変化を計算します。
運動量の変化(Δp)は、
Δp = m × (v_f – v_i)
ここで、m = 6.0 × 10⁻² kg(ボールの質量)、v_f = -15 m/s(最終速度、西向きは負)、v_i = 20 m/s(初速度)です。
したがって、運動量の変化は次のようになります。
Δp = 6.0 × 10⁻² kg × (-15 m/s – 20 m/s) = 6.0 × 10⁻² kg × (-35 m/s) = -2.1 kg·m/s
次に、平均の力を求めます。平均の力は、力積を接触時間で割った値です。
F = J / Δt = -2.1 kg·m/s / 5.0 × 10⁻³ s = -420 N
したがって、ボールが受けた平均の力は約-420 Nです(力の方向は負なので、西向き)。
3. (2) 打ち返し方向が北向きの場合
次に、ボールが北向きに20 m/sで飛んで行った場合の力積を求めます。運動量の変化は同様に計算できます。
最初の速度は東向き20 m/sで、最終速度は北向き20 m/sです。運動量の変化は、ベクトルとして計算する必要があります。運動量の変化は次のように求められます。
Δp = m × (v_f – v_i)
ここで、v_f = 20 m/s(北向き)、v_i = 20 m/s(東向き)です。ベクトルの差を取ると、運動量の変化はピタゴラスの定理を使って計算できます。
Δp = m × √(v_f^2 + v_i^2) = 6.0 × 10⁻² kg × √(20^2 + 20^2) = 6.0 × 10⁻² kg × √(800) ≈ 6.0 × 10⁻² kg × 28.28 ≈ 1.7 kg·m/s
したがって、ボールが受けた力積は約1.7 kg·m/sです。
4. ラケットがボールに与える力積
ボールがラケットに与える力積は、モーメントの逆です。すなわち、ラケットがボールに与える力積は、ボールがラケットに与える力積と同じ大きさで、方向が逆です。
したがって、ボールがラケットに与える力積は-1.7 kg·m/sです。
5. まとめ
この問題では、運動量と力積の概念を利用して、テニスボールがラケットで打ち返された際の力積を求めました。運動量の変化を使い、接触時間から平均の力を計算する方法を学びました。また、ベクトルの考え方を取り入れた力積の計算も重要です。
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