有機化合物の組成式と分子式を求める方法

化学

有機化合物の元素分析から得られるデータを基に、組成式や分子式を求める方法について解説します。今回は炭素、水素、酸素からなる90mgの有機化合物について、CO2とH2Oの生成量から組成式と分子式を導出する問題を例に、計算方法を詳しく見ていきます。

元素分析の基礎

元素分析は、有機化合物中の炭素、酸素、水素の含有量を求めるための実験技術です。この分析によって、化合物中の各元素の質量を測定し、それらの割合から化学式を導き出します。具体的には、燃焼反応により生成されるCO2とH2Oを測定し、炭素と水素の含有量を算出します。

問題で与えられているデータは、炭素、水素、酸素からなる化合物90mgを元素分析した結果、CO2が132mg、H2Oが54mg生じたというものです。これらのデータを使って、まずは組成式を求めます。

組成式の求め方

まず、CO2とH2Oの質量から、それぞれの元素(炭素、水素)の質量を求めます。

CO2の質量132mgから、炭素の質量を求めます。CO2の分子量は44g/molで、そのうち炭素は12g/molです。したがって、CO2中の炭素の質量は次のように求められます。

炭素の質量 = 132mg × (12g/mol / 44g/mol) = 36mg

次に、H2Oの質量54mgから、水素の質量を求めます。H2Oの分子量は18g/molで、そのうち水素は2g/molです。したがって、水素の質量は。

水素の質量 = 54mg × (2g/mol / 18g/mol) = 6mg

酸素の質量と組成式の確定

最後に、酸素の質量を求めます。元の化合物の質量は90mgであり、炭素と水素の質量がそれぞれ36mgと6mgであるため、酸素の質量は。

酸素の質量 = 90mg – (36mg + 6mg) = 48mg

これで、炭素、水素、酸素の質量がそれぞれ36mg、6mg、48mgであることが分かりました。これらの質量からモル数を求め、組成式を求めるために次のステップに進みます。

モル数と組成式

モル数を求めるために、各元素のモル質量を使います。炭素(C)のモル質量は12g/mol、水素(H)は1g/mol、酸素(O)は16g/molです。

炭素のモル数 = 36mg / 12g/mol = 3mmol

水素のモル数 = 6mg / 1g/mol = 6mmol

酸素のモル数 = 48mg / 16g/mol = 3mmol

これらのモル数を基に、最も簡単な整数比で元素の比率を求めます。炭素、水素、酸素のモル比は3:6:3となり、最も簡単な整数比は1:2:1です。したがって、この化合物の組成式はC1H2O1、すなわちCH2Oとなります。

分子式の求め方

次に、この化合物の分子式を求めます。問題文では、分子中に-COOH(カルボキシ基)が1つ含まれていることが分かっています。これを考慮すると、この化合物はカルボン酸であることが示唆されます。

カルボン酸の基準構造である-COOHは、1分子中に1つの炭素、2つの水素、1つの酸素を含んでいます。分子式CH2Oの化合物に-COOH基が含まれている場合、この分子式はC2H4O2になります。

まとめ

この化合物の組成式はCH2Oであり、カルボキシ基-COOHを含んでいるため、分子式はC2H4O2となります。元素分析の結果から、組成式と分子式を求める方法を解説しました。実際の元素分析では、このように質量データを基にして各元素の含有比を求め、化学式を導き出します。

コメント

タイトルとURLをコピーしました