R^nにおける距離の性質に関する問題では、異なる点同士の距離がどのように計算されるかを理解することが重要です。この記事では、x=(x1,x2,…,xn) と y=(y1,y2,…,yn) が R^n の元であるとき、距離 d(x,y) に関する不等式がどのように成り立つのかを証明します。
1. 問題の整理
与えられた問題は、R^n の距離 d(x, y) に関して次の不等式が成り立つことを示すことです。
d(x, y) ≦ Σ[i=1〜n] |xi – yi| ≦ n d(x, y)
ここで、d(x, y) は R^n の距離関数であり、通常はユークリッド距離やマンハッタン距離などが用いられます。ここでは、一般的な距離関数を使って証明を行います。
2. 距離関数の性質
距離関数 d(x, y) は、通常次のように定義されます。
d(x, y) = √[(x1 – y1)² + (x2 – y2)² + … + (xn – yn)²]
これはユークリッド距離です。ここで、x=(x1,x2,…,xn) と y=(y1,y2,…,yn) の各成分の差の二乗和を平方根で取っています。この距離関数は、2つの点の間の最短距離を示します。
3. 左辺の不等式 (d(x, y) ≦ Σ[i=1〜n] |xi – yi|) の証明
まず、左辺の不等式を証明します。Σ[i=1〜n] |xi – yi| は、x と y の対応する成分間の差の絶対値の和です。この値は、各成分の差の絶対値を足し合わせたものであり、ユークリッド距離よりも大きいか等しい値になります。
なぜなら、ユークリッド距離は各成分間の差の平方根を取るため、絶対値の和よりも常に小さくなるか等しいからです。したがって、次の不等式が成り立ちます。
d(x, y) ≦ Σ[i=1〜n] |xi – yi|
この不等式は、ユークリッド距離は各成分の差の絶対値の和に比べて小さいという性質に基づいています。
4. 右辺の不等式 (Σ[i=1〜n] |xi – yi| ≦ n d(x, y)) の証明
次に、右辺の不等式を証明します。ここでは、マンハッタン距離(またはL1ノルム)とユークリッド距離(L2ノルム)の関係を使用します。
マンハッタン距離は、各成分の差の絶対値を単純に足し合わせたものであり、次のように表されます。
Σ[i=1〜n] |xi – yi|
一方、ユークリッド距離は、成分の差の二乗を足し合わせた平方根であり、次のように表されます。
d(x, y) = √[(x1 – y1)² + (x2 – y2)² + … + (xn – yn)²]
これらの関係に基づいて、マンハッタン距離はユークリッド距離のn倍に上限を持つことがわかります。すなわち、次の不等式が成り立ちます。
Σ[i=1〜n] |xi – yi| ≦ n d(x, y)
この不等式は、ユークリッド距離が各成分間の差の絶対値の和よりも小さいか等しいという性質に基づいています。
5. まとめ
今回の問題では、R^n における距離 d(x, y) に関して、次の不等式が成り立つことを証明しました。
d(x, y) ≦ Σ[i=1〜n] |xi – yi| ≦ n d(x, y)
この証明では、ユークリッド距離とマンハッタン距離の関係を利用し、絶対値の和が距離関数に対してどのように関係するかを示しました。これにより、R^nの距離の性質に関する理解が深まりました。
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