統計学において「期待値」と「標本平均」は非常に重要な概念です。これらは異なるもののように見えますが、実際には非常に深い関係があり、期待値が標本平均に対応する理由を理解することは、統計学の基礎を理解する上で重要です。この記事では、期待値と標本平均がどのように対応するのか、具体例を交えて解説します。
期待値とは?
期待値(エクスペクテーション)は、確率論における基本的な概念で、確率変数が取る可能性のある値に、その値が現れる確率を掛け算して合計したものです。簡単に言うと、「長期的に見たときに得られる平均的な結果」です。
例えば、サイコロを1回振ったときの期待値を求めると、1から6までの目が出る確率はそれぞれ1/6なので、期待値は以下のように計算できます。
E[X] = (1 * 1/6) + (2 * 1/6) + (3 * 1/6) + (4 * 1/6) + (5 * 1/6) + (6 * 1/6) = 3.5
標本平均とは?
標本平均(サンプル平均)は、標本のデータセットにおける平均値を指します。例えば、サイコロを10回振って出た目の平均を求める場合、これが標本平均になります。
標本平均は、ある確率分布からランダムにサンプルを取って、その平均を計算することによって得られます。この標本平均は、確率変数の期待値に近づく性質があります。これを「大数の法則」と呼びます。
期待値と標本平均が対応する理由
期待値と標本平均が対応する理由は、大数の法則にあります。大数の法則は、標本数が十分大きくなると、標本平均が期待値に近づいていくという理論です。
例えば、サイコロを100回振った場合、期待値は3.5であることがわかっています。100回振った結果の標本平均も、理論上、3.5に近づくことが予想されます。このように、標本平均は試行回数を増やすことで、期待値に収束していきます。
具体例:サイコロの例
では、サイコロを10回振ったときの期待値と標本平均を具体的に見てみましょう。サイコロを10回振った結果、例えば以下のような結果が得られたとしましょう。
- 1, 3, 4, 2, 6, 5, 4, 3, 2, 6
この場合、標本平均は次のように計算できます。
(1 + 3 + 4 + 2 + 6 + 5 + 4 + 3 + 2 + 6) / 10 = 3.6
期待値は3.5ですが、標本平均は3.6となり、期待値に非常に近い結果が得られました。このように、サンプル数が増えると標本平均が期待値に近づいていくことがわかります。
まとめ
期待値と標本平均は異なる概念ですが、大数の法則により、標本平均は試行回数を増やすことで期待値に収束していきます。実際にサンプルを取って計算した標本平均が、理論上の期待値に近づく様子を見ることができるため、期待値と標本平均がどのように対応するのかが理解できるようになります。
統計学において、このような理論はデータ分析や予測において非常に重要な役割を果たします。期待値と標本平均を理解することで、確率論の基本的な概念をより深く学ぶことができます。
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