複素数平面における集合Sの指数関数による像exp(S)を求める問題は、数学的に非常に興味深いものです。指数関数は、複素数平面において複雑な変換を行い、集合Sがどのように変換されるかを理解することは、複素解析の学習において重要なステップです。本記事では、与えられた3つの集合に対して指数関数exp(z)の作用をどのように図示するかについて詳しく解説します。
1. 指数関数exp(z)の基本的な性質
指数関数exp(z)は、複素数z = x + iy(x, yは実数)の場合、以下のように表されます。
exp(z) = exp(x + iy) = exp(x) * (cos(y) + i*sin(y))
ここで、exp(x)は実数部xに依存し、cos(y) + i*sin(y)は虚数部yに依存します。このように、指数関数は実部xに対して指数的に拡大し、虚部yに対して円周上を回転する性質を持ちます。この性質を使って、与えられた集合Sに対する指数関数の作用を理解していきます。
2. (1) S={z ∈ C | 0 < Re(z) < 1} の場合
この集合Sは、実部が0と1の間にある複素数全体を表します。すなわち、xの範囲が0 < x < 1である複素数の集合です。
指数関数exp(z)を適用すると、実部xは指数関数的に変換されるため、exp(x)は0から1の間で指数的に増加します。一方、虚部yに対する影響は円周上の回転に関わるため、yの値により複素平面上での位置が回転します。結果として、集合Sの像は、半径exp(0)からexp(1)までの範囲で放射される螺旋のような形状になります。
3. (2) S={z ∈ C | |Im(z)| < π/6} の場合
この集合Sは、虚部Im(z)が±π/6の範囲にある複素数を表します。つまり、虚部が-π/6からπ/6の間にある複素数です。
指数関数exp(z)を適用すると、実部が固定されている限り、虚部yの値は±π/6の範囲で円周上を回転する影響を受けます。虚部yが-π/6からπ/6の範囲にあるため、この集合の像は、円周上を回転する点が直線的に広がる形で、放射線状に広がった線分のような図形が得られます。
4. (3) S={z = x + iy ∈ C | 0 ≦ x ≦ 1, 0 ≦ y ≦ π/3} の場合
この集合Sは、xの範囲が0 ≦ x ≦ 1、yの範囲が0 ≦ y ≦ π/3の複素数全体を表します。これは、複素平面上の矩形領域を定義しています。
指数関数exp(z)を適用すると、実部xに対して指数的に拡大する影響があり、虚部yに対しては円周上を回転する影響が働きます。結果として、この矩形領域が指数関数により変換されると、複素平面上で放射される曲線や領域が現れ、集合Sの像は扇形のような形状を描くことが分かります。
5. まとめ:指数関数による像exp(S)の図示
指数関数exp(z)を用いると、複素数平面上での集合Sの変換がどのように行われるかが分かります。具体的には、実部に対して指数的な拡大、虚部に対しては円周上での回転が働きます。
(1)の場合、集合Sは螺旋状に拡大し、(2)の場合は放射線状の線分、(3)の場合は扇形の領域が得られることが分かります。このように、指数関数は複素平面において非常に強力な変換を行い、集合Sの形を大きく変化させます。
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