古典文学における助動詞の使い方とその意味

文学、古典

古典文学を読む中で、助動詞の使い方に関する疑問がよく生じます。特に、古語や文法に馴染みがないと、助動詞の意味やその使われ方が分かりにくいことがあります。ここでは、代表的な古典文学作品からいくつかの例を取り上げ、それぞれの助動詞の意味とその使用法について解説します。

1. 「られ」についての解説(大和物語)

「夜一夜寝られず。」という文における「られ」は、可能の意味の助動詞として使われています。この助動詞は、動作が可能であることを表現するために使用されます。現代日本語では「寝られない」などの否定形と混同されがちですが、古典文学では「寝られる」という形で、動作ができる状態を示します。

「寝られず」の場合、「寝ることができなかった」という意味を表すため、否定形「ず」が使われていますが、もともとは可能の意味で使われることが多かったのです。

2. 「させ」についての解説(平家物語)

「御身は、疲れさせ給ひて候ふ。」という文における「させ」は、使役の助動詞として使用されています。使役の助動詞「させる」は、相手に何かをさせるという意味を持ちます。この場合、動作を相手に強制的にさせるというニュアンスで使われています。

平家物語の文脈では、「疲れさせ給ひて候ふ」という部分が、相手を疲れさせたという行為を表現しており、このように「させ」=使役の意味で解釈されます。

3. 「させ」についての再確認(徒然草)

「寝殿に鳶ゐさせじ。」という文における「させ」は、使役の意味の助動詞として使われています。この文では、「鳶を寝殿に入れる」という行動を「させる」という意味で使われており、鳶を入れさせないという意図を持つ命令形が使われています。

「させじ」という否定形で、鳶を寝殿に入れさせないという意思が表現されています。使役の助動詞「させる」が否定形で使われることで、意図が明確に伝わります。

4. 「ざり」についての解説(方丈記)

「風激しく吹きて、静かならざりし夜」という文における「ざり」は、助動詞「ず」の活用形です。現代日本語では「ず」は否定を示しますが、古典文学においては、動作の否定だけでなく、状態の否定も表すため、意味が少し異なります。

「ざりし」は「ず+あり+し」の形で、過去の状態が否定されるという意味を表しています。「静かならざりし夜」という表現で、「静かではなかった夜」というニュアンスが強調されています。このように、古語における「ず」の活用形は、否定の意味を持ちながら、状態を強調する役割も果たします。

5. まとめ

古典文学の助動詞の使い方は、現代日本語とは異なるニュアンスを持つことがあります。特に、「られ」「させ」「ざり」などの助動詞は、文脈に応じて可能性や使役、否定の意味を含んでいます。古典文学を読む際には、これらの違いを理解することが重要です。

古語の助動詞は、その文の背景や作者の意図を深く理解する手助けとなります。文脈に応じた解釈を行うことで、より深く作品を味わうことができるでしょう。

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