iPS細胞から作られた心臓が自ら拍動する理由とは?

ヒト

大阪関西万博で展示されるiPS細胞から作られた小さな心臓が自ら拍動することが話題となっています。通常、心臓は脳からの自律神経による電気信号を受けて拍動すると言われていますが、iPS細胞で作られた心臓はなぜ脳がなくても自ら拍動するのでしょうか。本記事では、iPS細胞と心臓の拍動の仕組みについて解説します。

1. iPS細胞と心臓の拍動

iPS細胞(人工多能性幹細胞)は、成人の細胞から作られることができる多能性幹細胞です。これを使って作られた心臓は、神経系が未発達でも、独自の拍動を持っています。この現象は、心筋細胞が自ら電気的に活動し、周期的に収縮と弛緩を繰り返す性質に基づいています。

実際、心臓の拍動は神経系からの信号によって調整されますが、根本的には心筋細胞自体が電気的な信号を発生させる能力を持っています。この自発的な拍動は「自動能」と呼ばれ、脳から独立して行われます。

2. 自発的な拍動の仕組み

心臓の拍動は、心筋細胞が持つ電気的特性によって引き起こされます。特に、心筋の「ペースメーカー細胞」と呼ばれる特別な細胞が、電気信号を発生させ、その信号が周囲の心筋細胞に伝播します。この信号が伝わることで、心筋が収縮して血液を送り出します。

iPS細胞から作られた心臓でも、ペースメーカー細胞が生成され、その細胞が自発的に電気信号を発生させ、心臓が拍動します。これは、脳や自律神経系がなくても成り立つ心臓の自然な機能の一部です。

3. 脳がなくても拍動する理由

脳がなくても心臓が自発的に拍動する理由は、心臓のペースメーカー細胞にあります。通常、脳から送られる信号(自律神経の指示)で心臓のペースは調整されますが、心臓の拍動の根本的な動力源は心筋そのものです。このため、iPS細胞を使って作られた心臓でも、外部からの指示がなくても自ら拍動を続けることができるのです。

これは、心臓が持つ「自己調整機能」の一例であり、神経系がなくても心筋が働き続けるメカニズムを示しています。

4. iPS細胞技術の応用と未来

iPS細胞を用いた研究は、再生医療や臓器移植の分野において大きな可能性を持っています。自発的に拍動する心臓を作る技術は、心臓病患者の治療に役立つ可能性があります。また、iPS細胞を使って作られた心臓が、人体の条件にどれだけ適応できるかという問題も今後の研究で解明されるべき点です。

この技術が発展することで、臓器の再生や修復が可能となり、医療の未来が大きく変わるかもしれません。

まとめ

iPS細胞から作られた心臓が自ら拍動する理由は、心筋細胞自体が持つ「自発的な拍動能力」にあります。これにより、脳や自律神経系がなくても心臓は機能し、拍動し続けることができます。この技術は再生医療の分野で大きな可能性を秘めており、今後の研究に期待が寄せられています。

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