建築の仕口部Hoop筋配置における中子筋の扱いと第一Hoopの設計基準

建築

建築における鉄筋コンクリート構造では、仕口部(柱と梁の接合部)における配筋設計が重要な役割を果たします。特に柱のHoop筋(帯筋)においては、地震などの外力に対して構造物の靭性と耐力を確保するために、適切な配置が求められます。今回は「仕口部Hoop筋に中子筋が入っていて合計3本、上階では中子筋がなく2本」のようなケースで、第一Hoop筋の構成について詳しく解説します。

仕口部Hoop筋とは?

仕口部Hoop筋とは、柱と梁の接合部近傍に配置される帯筋で、主にせん断力やコンクリートの拘束、座屈防止に寄与します。特に地震時のような強い揺れが加わる場面では、仕口部のHoop筋が柱の靭性を高め、崩壊を防ぐ鍵になります。

この仕口部は、一般的に上下階の梁が接続される範囲、すなわち梁せいの1.5倍程度を基準に設定され、帯筋のピッチや本数も通常部より密に設計されることが多いです。

第一Hoop筋の位置と役割

第一Hoop筋は、柱の端部または基礎との接合部に最初に配置される帯筋を指します。構造設計上、第一Hoop筋は「最外周筋を囲い、中子筋(内側筋)を必要に応じて追加する」ことで、断面全体を拘束することが求められるケースが多くなります。

中子筋の配置は、設計規模や柱断面の大きさ、要求される耐力性能によって異なります。

設計基準における仕口部と通常部の区分

設計基準では、「第一Hoop筋および最終Hoop筋を除いた範囲を仕口部Hoopと定義する」という解説図が一部の文献に存在します。しかしこれは、設計指針として示された便宜的な解釈にすぎません。

実務上は、仕口部Hoopの必要本数や配置ピッチについて、柱のせん断補強や拘束の観点から、設計基準で定められた最小鉄筋量や、鉄筋のかぶり厚、間隔の規定をもとに判断されるべきです。

第一Hoop筋に中子筋は必要か?

質問のように、下階の第一Hoop筋には中子筋を含めて3本、上階は外周筋のみの2本という場合、設計的には次のような観点で判断されます。

  • 第一Hoop筋が仕口部として含まれるのであれば、構造的な整合性を保つために中子筋を含めた3本とする方が望ましい
  • 設計図や構造計算書に明確な記載があれば、それに従うべき
  • 構造設計者に確認を取り、中子筋の省略が安全性や基準上問題ないかを検討すべき

つまり、第一Hoop筋を仕口部Hoopに含めるかどうか、またその構成をどうするかは、構造設計者の判断・設計条件に依存します。構造図だけでは不明な場合は、構造計算書や仕様書で補足されていることもあります。

実務での対応例

ある施工例では、柱断面が大きくせん断力が大きい仕口部において、D10のHoop筋を3本(外周+中子)使用し、上階では外周筋のみ2本とすることで、コストと施工性のバランスを取っていました。

また、鉄筋工事の施工指針書には、「構造設計者の明示がない限り、仕口部の最外周および中央部に中子筋を配置することでせん断抵抗と拘束効果を確保すべき」と記されています。

まとめ

第一Hoop筋に中子筋が必要かどうかは、そのHoop筋が仕口部に含まれるかどうか、また構造設計者の意図や設計条件によって判断されます。仕口部Hoopとしての役割が求められる場合、中子筋を含めた3本の構成がより安全性の高い配筋といえます。

曖昧な場合は、設計者に確認を取り、日本建築学会の構造指針などを参照することで、より適切な判断が可能になります。

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