固有値や固有ベクトルの計算において、実行列だけでなく虚数成分を含む場合でも、対角化が可能です。この記事では、虚数成分を含む行列をどのように対角化するか、そしてその手順が実行列の場合とどのように異なるのかについて解説します。
1. 固有値・固有ベクトルと対角化の基礎
固有値問題では、行列Aに対して次のような方程式が成り立ちます。
A v = λ v
ここで、vは固有ベクトル、λは固有値を表します。行列Aの固有ベクトルvは、行列Aによってスカラー倍されるだけで方向は変わりません。
対角化とは、行列Aを固有値を対角に持つ行列Dに変換する操作です。これには、Aが可逆な場合、すなわちAの固有ベクトルが線形独立である場合が必要です。
2. 虚数成分を含む行列の対角化
実行列の場合、固有値や固有ベクトルはすべて実数であることが期待されますが、虚数成分を含む行列では、固有値や固有ベクトルに虚数成分が現れることがあります。例えば、次のような行列の場合です。
A = [ [ 1, -2 ], [ 2, 1 ] ]
この行列の固有値は虚数成分を含みますが、依然として固有ベクトルを求め、対角化を行うことができます。
3. 対角化の手順:実行列と虚数成分の取り扱い
虚数成分を含む行列でも、対角化の手順は実行列とほぼ同じです。ただし、固有値に虚数が含まれる場合、その固有ベクトルも虚数を含むことになります。この場合、行列の対角化を行うためには次のステップを踏みます。
- 固有値を計算する
- 固有ベクトルを求める
- 固有ベクトルを用いて行列を対角化する
実際には、計算中に複素数の演算を行いますが、手順としては実行列の場合と同じです。複素数を使った固有ベクトルの計算が含まれることになります。
4. 実例:虚数成分を含む行列の対角化
例えば、次の行列Aを考えます。
A = [ [ 1, -2 ], [ 2, 1 ] ]
この行列に対して、固有値を求めると次のようになります。
λ = (1 ± i√3) / 2
これに対応する固有ベクトルを求めると、次のようになります。
v₁ = [ 1 + i, 1 ]
このようにして、虚数成分を含む固有値と固有ベクトルを求め、行列Aを対角化することができます。
5. まとめ:虚数成分を含む行列の対角化
虚数成分を含む行列でも、対角化は実行列と同じ手順で行うことができます。固有値と固有ベクトルに虚数が含まれる場合、計算は複素数を使って行いますが、基本的な方法は変わりません。
対角化は、行列の解析や問題の解決において非常に重要な技術です。虚数成分を含む行列の場合でも、この手法をしっかりと理解して実践すれば、どんな行列でも対角化することができます。
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