連立不等式でなぜ「A < C」だけでは足りないのか?数学Iの基礎をわかりやすく解説

数学

数学Iで学ぶ連立不等式の中で、「A < B < C」のような不等式の扱い方について、疑問を持つ人は少なくありません。特に「A < C」だけでいいのでは?と思ってしまうのは自然な発想です。しかし、数学的にはそれでは不十分である理由が明確に存在します。この記事では、「なぜ『A < B < C』という連立不等式を『A < B かつ B < C』と扱うのか?」について、図や具体例を交えて丁寧に解説します。

「A < C」だけではわからない情報がある

「A < C」が成立しているとき、AとCの間にBがあるかどうかはわかりません。たとえば、次のような数の並びを考えてみましょう。

例1: A = 1, B = 5, C = 3 のとき、A < C(1 < 3)は成立していますが、B < C(5 < 3)は成り立ちません。このように、「A < C」だけではBの位置関係が保証されないのです。

したがって、「A < B < C」と書くときは、A < B かつ B < C の2つの条件が同時に成り立つ必要がある、という意味になります。

連立不等式の本質は「同時に成り立つ条件」

連立不等式では、複数の条件が同時に成り立つ範囲を求めます。つまり、「A < B < C」は「A < B」かつ「B < C」の両方の条件を満たすBの範囲を求めることを目的としています。

「A < C」はあくまで間接的な関係を示しているだけで、Bに関する直接的な条件ではありません。これが、「A < C」だけでは足りない理由です。

グラフや図で視覚的に理解する

数直線を使って視覚的に確認してみると、この違いが明確になります。

例: A = 1, C = 5 のとき、「A < C」だけでは、Bが2でも3でも4でも、あるいは0でも6でも成り立ちます。しかし「1 < B < 5」という条件を加えると、Bは1より大きく、5より小さい数でなければならず、範囲がはっきり定まります。

このように、数直線上で範囲を明確に表現するためには、「A < B かつ B < C」という連立不等式の形が必要になります。

連立不等式を使う実践的な場面

例えば、テストの点数の範囲を考える場合を想像してください。ある合格基準が「60点以上80点未満」とされているとき、これを数学的に表現すると「60 ≤ x < 80」となります。

ここで「60 ≤ 80」とだけ書いても意味が伝わらないのと同様に、「A < C」だけでは目的とするBの位置関係を正確に表現できないのです。

まとめ:連立不等式は条件のセットで意味がある

「A < B < C」という表現は、単なる大小関係の確認ではなく、Bに対する明確な範囲の指定を行うものです。そのため、「A < C」だけでは、Bがその範囲内にあるかどうかは判断できません。

このように連立不等式は、それぞれの要素間の関係性を正確に示すために、複数の条件が同時に必要となる表現です。数学を学ぶ上で、こうした表現の意味を正確に理解しておくことは、論理的思考力を高めるうえでも非常に重要です。

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