PAS(配電盤接地システム)の接地抵抗測定は、年次点検において重要な作業の一つです。この作業を安全かつ正確に行うためには、適切な測定方法と注意すべきポイントを理解しておくことが不可欠です。特に構内停電時における測定方法については、いくつかの重要な点を抑える必要があります。この記事では、PASの接地抵抗測定に関する基本的な知識と、年次点検の際に注意すべき測定方法を解説します。
接地抵抗測定の重要性と基本的な考え方
接地抵抗の測定は、設備の安全性を確保するために非常に重要です。接地抵抗が高いと、地絡事故が発生した際に安全に電流を地面に逃がすことができず、感電事故や火災などのリスクが高まります。年次点検の一環として行う接地抵抗測定は、定期的な保守作業の中でも重要な位置を占めています。
一般的に、接地抵抗測定は接地システムが適切に動作しているか、または劣化していないかを確認するために行います。適切な接地がされていれば、システムの安全性を高めることができます。
年次点検時のPAS接地抵抗測定の手順
年次点検の際にPASの接地抵抗を測定する場合、最も重要なのは「測定方法を正確に守ること」です。まず、接地抵抗測定は、PASが開放状態、すなわち機器が無電力の状態で行うことが基本です。これにより、測定機器への影響や誤差を防ぎます。
測定を行う際に注意するべき点は、系統側が加電されている状態であっても、接地抵抗の測定が問題なく行えることです。加電されている側の電流が測定結果に影響を及ぼさないよう、適切に測定機器を設定する必要があります。
接地抵抗測定の方法:接地箱を使用する場合
接地抵抗測定を行う際には、接地箱を使用して離線し、接地極側だけを測定対象にするのが最も一般的な方法です。この方法では、接地システムの一部を切り離すことで、正確な測定が可能となります。接地箱の役割は、測定中に回路全体が影響を受けないようにすることです。
測定を開始する前に、接地箱を使用して完全に離線し、接地抵抗を測定する準備を整えます。離線作業は安全面で非常に重要な作業であり、これを怠ると測定が不正確になる可能性があります。
制御装置のZ2端子を使用した接地抵抗測定
一方で、制御装置のZ2端子を使用して接地抵抗を測定する方法もあります。この方法では、離線作業を行わずに接地端子を利用して直接測定を行います。この方法は、設備全体を離線する手間を省くことができ、比較的簡便に測定を行える点がメリットです。
ただし、この方法では注意すべき点がいくつかあります。制御装置のZ2端子を利用する際は、機器の状態を十分に確認し、測定に影響を与えないように配慮する必要があります。
接地抵抗測定における安全管理と注意点
接地抵抗測定は高電圧設備に関わる作業であるため、常に安全管理を徹底する必要があります。測定前には必ず電源を切り、適切な保護具を着用した上で作業を行いましょう。また、測定後には機器や配線に異常がないかを再確認し、再度電源を入れる前に十分な検査を行うことが重要です。
安全確認が不十分な場合、感電などの事故が発生する可能性があるため、慎重な作業が求められます。
まとめ:PAS接地抵抗測定の正しい実施方法
PASの接地抵抗測定を年次点検で行う際には、適切な手順を守り、接地箱を使用した離線作業と制御装置のZ2端子を利用した測定方法を使い分けることが大切です。どちらの方法を採用するかは、設備の状態や作業の環境に応じて判断しますが、いずれにしても安全第一で作業を進めることが最も重要です。
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