人工衛星の運動に関する問題では、重力加速度、速さ、回転周期などの物理的なパラメータを求める必要があります。今回は、地表からの高さが半径と同じRである円軌道を回る人工衛星について、以下の3つの質問を解いていきます。
問題の概要
問題では、地表での重力加速度をgとし、人工衛星の高さでの重力加速度をg’、人工衛星の速さv、回転周期Tを求める問題です。まずは、各項目に必要な物理的な概念を確認しましょう。
(1) 人工衛星の高さでの重力加速度g’はgの何倍か
地球上での重力加速度gは、地球の中心からの距離に依存します。地表からの高さが半径Rの位置での重力加速度g’は、地表での重力加速度gに比べてどれくらい小さくなるかを求めます。
地球上での重力加速度gは、次の式で表されます。
g = G * M / R²
ここで、Gは万有引力定数、Mは地球の質量、Rは地球の半径です。人工衛星の高さが半径Rの位置での重力加速度g’は、次の式で求められます。
g’ = G * M / (2R)² = g / 4
したがって、g’はgの1/4となります。つまり、地表での重力加速度の1/4の大きさになります。
(2) 人工衛星の速さvはいくらか
人工衛星の速さvは、円軌道上での運動の法則を使用して求めます。円軌道上では、人工衛星は重力によって引っ張られつつ、速さvで回転しているため、次の式を使います。
F = m * v² / r
ここで、Fは重力、mは衛星の質量、vは衛星の速さ、rは軌道の半径(R + R = 2R)です。重力Fは、地球と衛星間の万有引力として、次のように表されます。
F = G * M * m / (2R)²
この二つの式を等式で結びつけて、速さvを求めます。
m * v² / 2R = G * M * m / (2R)²
mが両辺に現れるため、消去して、次の式を得ます。
v² = G * M / 2R
したがって、速さvは次のように求められます。
v = √(G * M / 2R)
(3) 人工衛星の回転周期Tはいくらか
人工衛星の回転周期Tは、速さvと軌道の半径Rを使って求めることができます。周期Tは、衛星が1周するのにかかる時間であり、次の式で求められます。
T = 2πR / v
先ほど求めた速さvを代入すると。
T = 2πR / √(G * M / 2R)
この式を整理すると、最終的に回転周期Tは次のように表されます。
T = 2π * √(2R³ / G * M)
まとめ
この問題では、人工衛星が地表からの高さが半径と同じRである円軌道を回る場合の重力加速度、速さ、回転周期を求めました。具体的には、次の結果が得られました。
- 人工衛星の高さでの重力加速度g’はgの1/4
- 人工衛星の速さvはv = √(G * M / 2R)
- 人工衛星の回転周期TはT = 2π * √(2R³ / G * M)
これらの式を使って、与えられたパラメータに基づいて問題を解くことができます。物理的な概念をしっかり理解し、問題に取り組むことで、より深い理解が得られるでしょう。
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