複素関数論における留数定理は、積分を簡単に解くための強力なツールです。本記事では、留数定理を用いて複雑な積分問題を解く方法について詳しく解説します。具体的な例として、複素積分 ∫(e^z / (z^2 + 1)^2) dz を単位円 |z| = 1 に沿って一周する積分路上で解いていきます。
1. 留数定理の基礎
留数定理は、複素平面上の閉曲線に沿った積分を、関数の極での留数を用いて簡単に計算できるという理論です。留数定理の一般的な形は次の通りです。
∮_C f(z) dz = 2πi Σ Res(f, z_k)
ここで、C は閉曲線、f(z) は解析関数、z_k は f(z) の極点、Res(f, z_k) は z_k における f(z) の留数です。この定理を使うと、積分路上の点での関数の挙動を調べることで積分値を求めることができます。
2. 問題の解法の準備
積分問題は次のようになっています。
∫(e^z / (z^2 + 1)^2) dz (積分路:|z| = 1)
まず、この関数 e^z / (z^2 + 1)^2 の特異点を確認しましょう。分母 (z^2 + 1)^2 のゼロ点は、z = i と z = -i です。これらは関数の極点となります。
次に、留数定理を適用するために、z = i と z = -i の周りでの留数を計算する必要があります。
3. 留数の計算
まず、z = i の留数を計算します。この関数は、z = i で2階の極を持つため、2階の留数を計算する必要があります。2階の極に対する留数の計算式は次の通りです。
Res(f, i) = lim_{z → i} d/dz [(z – i)^2 f(z)]
ここで、f(z) = e^z / (z^2 + 1)^2 です。この式に代入して微分を計算すると、最終的に留数を求めることができます。同様に、z = -i についても留数を計算します。
4. 最終的な積分値の計算
留数定理により、積分値は次の式で求められます。
∮_C f(z) dz = 2πi [Res(f, i) + Res(f, -i)]
これらの留数を計算して、最終的な積分値を求めます。この計算により、積分の解が得られます。
5. まとめ
留数定理は、複素関数論における強力なツールであり、積分を簡単に計算する方法を提供します。今回の問題では、関数 e^z / (z^2 + 1)^2 の積分を単位円に沿った積分路で計算しました。留数の計算とその適用により、積分値が得られました。複素積分の問題を解く際は、まず特異点を確認し、その留数を計算することが重要です。
この方法は、他の複素積分問題にも応用できるため、留数定理の理解を深めるための良い練習になります。
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