電験3種の試験において「水トリー」と呼ばれる劣化現象について学ぶことがありますが、実際にその現象がどのように発生するのか、また、低圧のCVケーブルで見られる被覆の劣化がこれに関連しているのかは疑問に思うこともあるでしょう。今回は、CVケーブルの水トリー現象とは何か、また低圧ケーブルの被覆が劣化する原因について詳しく解説します。
1. 水トリーとは？その基本的な概念
水トリー（水トリー現象）は、特に電力ケーブルの絶縁体において発生する劣化現象の一つです。水分が絶縁体内に浸透し、絶縁体の劣化を引き起こします。これにより、ケーブルの絶縁性能が低下し、最終的には断線やショートを引き起こす可能性があります。
水トリー現象は、特に水分が多い環境において、ケーブルの絶縁体（例えばゴムやビニール）に浸透して内部で反応を引き起こすことにより発生します。これが進行すると、絶縁体が破壊され、最終的には電気的なトラブルを引き起こす原因となります。
2. CVケーブルの劣化：被覆がパリパリに剥がれる状態
低圧のCVケーブルで見られる被覆の劣化、つまり「被覆がパリパリになり、触ったり少し動かすとポロポロ剥がれる状態」とは、実際には「水トリー現象」とは異なるタイプの劣化が進行している可能性があります。
このような現象は、主にケーブルの被覆材自体が経年劣化を起こすことによるものです。特に、外部環境や温度、湿度の影響でゴムやビニールが硬化し、最終的に亀裂や破損が生じます。この劣化は水分によるものではなく、素材自体の物理的・化学的な変化が原因です。
3. 水トリー現象とケーブルの劣化の違い
水トリー現象と一般的なケーブルの劣化にはいくつかの違いがあります。水トリーは水分がケーブル内部に浸透し、絶縁体を劣化させる現象ですが、低圧ケーブルで見られる被覆の剥がれは、外部からの水分ではなく、主に時間経過や外的要因による物理的劣化です。
水トリー現象は特に湿度が高い場所や、湿気がケーブル内部に侵入しやすい環境で発生しやすいですが、被覆の剥がれ現象は通常、乾燥した環境や高温による影響が主な原因となります。
4. 低圧ケーブルの劣化原因とその予防策
低圧ケーブルが劣化する主な原因は、温度変化、紫外線、湿気、そして機械的摩耗です。これらの要素が長期間にわたって影響を及ぼすことで、ケーブルの被覆が硬化し、最終的には剥がれる現象が発生します。
劣化を予防するためには、ケーブルを適切に保護し、過剰な湿気や高温を避けることが重要です。また、定期的にケーブルを点検し、異常があれば早期に交換や修理を行うことが効果的です。
5. まとめ：水トリー現象とケーブル劣化の違い
水トリー現象と低圧ケーブルの被覆の劣化には明確な違いがあります。水トリーは水分の侵入による絶縁体の劣化ですが、被覆のパリパリ剥がれる現象は素材の経年劣化が原因であることが多いです。それぞれの現象には異なる対策が必要であり、ケーブルの管理や定期的な点検が大切です。
質問者の方が遭遇した被覆の剥がれ現象は、水トリー現象ではなく、一般的なケーブルの物理的劣化によるものと考えられます。今後もケーブルのメンテナンスを行い、異常があれば早期に対応することが求められます。
コメント